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花屋の店先に並ばない
花屋の店先に並んだ花は、それぞれ別々のオンリーワンだそうですが、これでは、店先に並ばない植物たちの立場がありません。
今回は、そんな花屋の店先に並ばない植物たちの話をします。
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やってきたのは、葛飾区鎌倉の鎌倉公園
この公園の一角に、以前にもちょっと書いた事がある、鎌倉野草園があります。
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この渋い門が象徴するように、中は花屋のような華やかさとは無縁の植物たちの宝庫なのです。
基本、園内は緑です。
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華やかさとは無縁ですが、地に足が着いた(植物だけに)落ち着きがあります。
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説明書きも、渋い。
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と書くと、まるで地味一辺倒な場所と思われるかもしれませんが、そんな事はなく、ちゃんと花も咲いているし、果実も実っています。
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が、今回紹介したいのは、こうした花でもなければ、果実でもありません。更に言ってしまえば、植物ですらありません。その植物たちを紹介している名札です。
最初にお見せした「キツネノカミソリ」。こんな植物があることを、ここに来るまで知りませんでした。それは、それで為になったのですが、名札の情報量があまりに少なすぎて、どれがキツネノカミソリなのか、よく分からないのです。この時、これがキツネノカミソリっぽいんじゃないかと、名前だけから判断して撮ったのが下の画像ですが…、
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帰ってネットで調べたら、全然違いました。
樹木の場合は、名札が木に直接縛り付けてあるので、さすがに分かるのですが、草となると、色んな植物が隙間無く植えられていて、植物に詳しくない者にとっては、名札としての役割を果たしていないのです。
普通、こうした名札と言えばこんな感じで、
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もっと親切なものは、イラストも付いていたりします。この野草園にも、こういう名札が無いわけではないのですが、それはごく一部で、大半がキツネノカミソリ状態なのです。
では、そんな不完全な名札ばかりで楽しめないのかと言えば、そうではありません。むしろ、そういう名札だからこそ、他の植物園では味わえない楽しみがあるのです。
情報量が少ないから、想像の余地があり、ここには想像力をかき立てる名前があふれているのです。
例えば、キツネノカミソリを発見したので、他に動物がらみの名前を探してみると、
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マムシグサ。有毒?ニョロニョロしてる?マムシ模様の茎?葉っぱがマムシ顔?きっと、どれも違うんでしょうけど、もう、そんな事はどうでもいいと思います。名札の余白に、勝手に自分で書き込んでいくのが楽しい。



さらに探すと、
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ネコハギ。よく、猫が食べる用の草?いやいや、猫の顔っぽい花が咲くのかも。もしかしたら、猫がそばによると、オイハギみたいに猫を襲って剥いじゃうんじゃ?
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マイクジャク。舞い孔雀なら、葉っぱが落ちるときに華麗に舞うのか?My孔雀なら、自分が飼ってる孔雀くらいきれいな上に可愛い木なのか?いや、もしかして、発見したのが二人のアメリカ人マイクとジャックだったのかも。
さらに、ファンタジックな、
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コクリュウノヒゲ。何かのRPGで、手に入れるととんでもない魔法が使えそうです。ラスボスを倒す時に、コクリュウノヒゲがあると無しとじゃ大違いだよ、みたいな。
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ウラシマソウ。これも手に入れると便利そうなアイテムです。これさえあれば、迷宮で迷っても時を遡れるので、入り口からやりなおせて、便利です、たぶん。

名札だけで、短いストーリーを想像することも、不可能ではありません。
先ず、マユミという女性がいます。
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彼女はハーフの赤毛で、赤いマユミと呼ばれています。
なぜ、わざわざ赤いという形容詞が必要なのかと言えば、当然、もう一人のマユミが存在するからです。
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透き通るような白い肌なので、白いマユミと呼ばれています。
赤いマユミはデリカテッセンで働いています。
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白いマユミは甘味処で働いています。
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二人は学生時代からの親友なのですが、ある出来事をきっかけに、二人の関係が微妙に変化していくことになります。
ことの起こりは、ある激しい雨の日、二人で出かけたマユミたちが、傘が壊れたために、あわてて飛び込んだ喫茶店。
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そこにいた一人の男、マサキの登場です。
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誰がどうみてもイケメン。しかし、マサキには人に言えない秘密があったのです。
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そう、マサキはヅラだったのです!!

って言う……。

ええと、妄想が暴走しすぎたので、他に気になった名札を二、三紹介して終わりたいと思います。
前述のとおり、情報量の少ない名札ですが、たまにちょっとした情報が付加されている事もあります。
例えば、
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ドクダミは、さすがに知ってますが、八重咲きがあるなんて、初耳です。
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卯月→空月。これは、情報はあるものの、なんかヒントだけ与えるので、あとは自分で解決しなさいと言われてるみたいです。
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食用。うん、それは知ってます。
いかがでしょうか?鎌倉野草園の魅力が少しでも伝わりましたでしょうか?
ちなみに、もし、こんなふうに楽しみながら歩かないと、全体を回るのに三分くらいしかかかりませんので、ご注意を。
三分で廻れる実証動画↓

動画を見て、お分かりのとおり、土曜の午後なのに、私以外誰もいませんでした。そのくらい閑静って事です。もちろん良い意味で。

ちなみに、今の季節だとでかいキノコとかも見られます。
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みなさんも機会があれば、花屋の店先に並ばない植物たちを楽しんでいただきたいと思います。



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by shijima-i | 2010-10-24 10:02 | 大ネタ | Comments(2)
Commented by てん at 2010-10-24 23:25 x
わびさびの世界に、そういう深くて楽しいお話があったとは
知らなかったずら~~!(^◇^)
Commented by shijima-i at 2010-10-25 19:23
何事も、裏に回ると色々あるもんなんですよぉ。
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