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鹿をめぐる散歩
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彼らに会いにいきます。

二年も前に姪っ子に勧められてたけど、読んでなかった万城目学の鹿男あをによしを、最近、今更ながら読みました。
なかなか面白かったんですが、それよりも鹿が気になりだしました。と言うか、前にちょっと気になって、でも忘れていた鹿の事を思い出したんです。
みなさんは「神鹿(しんろく)」という言葉をご存知でしょうか?文字通り神の鹿、有名なのは奈良公園の鹿や厳島神社の鹿なんかで、要するに神様の使いとか化身とか眷属とかの鹿の事です。と、偉そうに書きましたが、この記事を書くまで神鹿なんて言葉聞いた事もなかったんですけどね。
で、今回はこの「神鹿」に会いに行きます。とは言え、奈良とか広島とか、そんなに遠くまで行くのは大変なので、うちの近所、江戸川区で何とかしてみたいと思います。
実は江戸川区は鹿と、そうそう縁がないわけでもありません。先ずは、このバス停をご覧下さい。
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鹿の骨と書いて「ししぼね」と読みます。鹿をシシと読むのは古い言い方で、もののけ姫に出て来たシシ神が鹿っぽい姿をしてたのは、それだけ昔の話ですよって意味にもなってるわけです。つまりこの江戸川区の鹿骨という地名も古くから鹿と縁があった証拠とも言えます。
もちろん、街は鹿骨にあふれています。
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銭湯だって鹿の湯です。
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地名の由来ですが、昔、鹿島大神が常陸の国(現茨城周辺)から奈良に移る際に、おともをしていた神鹿がここで急病で倒れ、それを懇ろに葬ったのがここなのだそうです。意外な所で鹿男あをによしの舞台奈良と江戸川区はつながっていたわけです。
従って、鹿骨には鹿島神社があり、
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神鹿の像もあります。
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更に、鹿島神社のように有名では無いのですが、他には無い「鹿見塚(ししみづか)神社」という神社があって、鹿骨発祥の地と言われています。
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神社自体はとても狭いのですが、近くの遊歩道には、やはり鹿の像もあります。
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と、確かに鹿に会えましたが、本当の目的はここからです。



姪っ子に勧められた本をきっかけに始めた記事ですが、最終目的地も同じ姪っ子がらみです。姪っ子が所属しているオーケストラが一年半くらい前に江戸川区総合文化センターという所で演奏会をやったのですが、その時に、ちょっと早めに着いてしまったので、周りをブラブラしていたら少し大きめの神社に行き当たりました。そこに鹿がいたのです。まさか東京23区内の神社に生きている鹿がいると思っていなかったので驚きました。しかし、この時はほんのちょっと姿が見えただけで時間が無くなってしまい、ちゃんと確認できませんでした。
ネットで「都内 鹿 神社 飼う」みたいな検索しても、東京に分社のある京都や奈良の神社の情報しか出てきませんでしたので、今となっては、本当に鹿だったのか、あやふやな感じにすらなっていました。
と言う事で、一年半ぶりに事の真偽を確認に行ってきました。
江戸川区総合文化センターのすぐ近くというのは、はっきりしていましたので、記憶を頼りに歩くと、それらしい神社が簡単に見つかりました。香取神社と言うようです。
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この石碑にも見覚えがあります。
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小松菜産土神の碑
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なんと、ここは小松菜発祥の地。しかも命名者は暴れん坊将軍吉宗だったのです。神社自体の住所は江戸川区中央ですが、旧地名で言えば小松川地区になるようで、いわば、ここで採れる小松菜が本物の小松菜なわけです。

近くの商店街ではこんなのも売ってました。
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これはこれで興味深いですが、今回は目的が違いますので、さらに奥に。
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完全に記憶が蘇りました。この右側の金網のところで鹿を見たのです。
神社は大通りからも少し離れているため、比較的静かで、神社の方もいらっしゃらないようでしたから、鹿を驚かせてないように、そっと近寄ると、
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食事中でした。これは、実は運が良くて、鹿は普段はこの奥にある広い空間で過ごしていて、いつ来ても会えるわけではないようなのです。最初は牡鹿だけかと思いましたが、よく見ると牡鹿の陰にすっぽり隠れて雌鹿も食事していました。まるで牡鹿が外敵から雌鹿を守っているようです。上の写真、よく見ると足が多いでしょ。
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右側に見えるのが、奥の広場への入り口です。
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間近に見られたのは良いのですが、顔がよく見えませんでしたので、食事が終わるまで暫く待たせていただくことに。
時々、気になるのかこっちをちらっと見たりして、
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30分くらいで食事が終わり、二頭はゆっくりと塀にある狭い出入り口から奥の広場に。
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牡鹿はこちらが見える位置に座って、時々こっちを見ています。たぶん警戒されてるんでしょうけど、ここは神の使いに目をかけてもらってると解釈して、ありがたく画像や動画を撮らせていただきました。雌鹿はこっちを全然気にしないで牡鹿の角の周りや目の周りなどを舐めていました。牡鹿が見張ってくれているので心配無いって事なのかもしれません。
神社を発見してから帰るまでの約45分間、私以外にこの神社を訪れる人はいませんでした。
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ゆったり流れる時間を、動画でちょっとだけ味わっていただければ幸いです。



江戸川区の神鹿は、その名に相応しく、周囲とはまったく別の時間の中で暮らしているようでした。
そして、無人の神社の鹿の前で30分以上、写真や動画を撮り続けている私も、いつもと違う時間の中にいたのかも知れません。
まぁ、遠目にはすごい鹿好きの人以上のものではないんですけど。
帰ってから神社の名前で調べたら、香取神社のサイトがありました。姉さん女房だったんですねぇ。

ちなみに、鹿骨に完全にアゥエイな歯医者さんがありました。
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熊もがんばれ〜♪

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追記:デイリーポータルZの講評を読んで、冒頭に鹿の画像を追加してみました。(9/19)
by shijima-i | 2010-09-14 20:42 | 大ネタ
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